刑法総論①
因果関係論
一定の結果の発生が犯罪成立の要件とされているとき、処罰対象とされる行為とその結果の間にどのような関係を要するかを明らかにしようとするもの。 行為と結果の間の関係性が問題。
「因果関係」は結果犯における構成要件要素である。
刑法における因果関係論は、結果発生を理由としてより思い違法性を肯定できるかどうかの問題である。 違法論の対立が直接に反映される。
- 条件説
- 条件関係があれば刑法上の因果関係が肯定される. 旧説.
- 相当因果関係説
- 行為から結果が発生することが経験上一般的であるときに限って因果関係が肯定される. 通説.判例(やや古)
- 危険の現実化
- 行為の危険性、誘発、死因の形成等の具体的なファクターを総合的に考慮する. 近年の判例/学説
雑多な用語メモ
- 行為無価値(論)
- 刑法が規定する行動準則に反することによって受ける否定的評価
- すべての犯罪には行為無価値を要する。
- 結果無価値(論)
- 行為による結果によって受ける否定的評価
- 一部の犯罪は行為無価値に加えて結果無価値を要する。
- 挙動犯
- 結果無価値が構成要件要素でない犯罪。
- 住居侵入罪、暴行罪等
- 結果無価値が構成要件要素でない犯罪。
- 結果犯
- 結果無価値が構成要件要素である犯罪。
- 傷害罪、殺人罪等
- 結果無価値が構成要件要素である犯罪。